樹木周りの盛り土
こんにちは。樹木医の大嶋です。今日は、樹木周りの盛り土の話です。
左は、富士市のある公園のサクラの周りの不要な土や有機物を削り取ったところの写真です。
ここを管理する人たちが、毎年刈った
細かい芝生をサクラの根元に積み重ねた結果、
土と有機物が混じった10cm以上の厚い層が根の周りに堆積していました。サクラの肥やしのためにと人がせっせとサクラに与えた有機物が、サクラにとってはどうだったのでしょうか。
樹木の根は呼吸しています。呼吸と言っても根が直接酸素を吸えないので、水に溶けた状態の酸素を水とともに吸収しています。
土の中は微生物の活動で常に有機物を分解しているので、土の中の二酸化炭素濃度は、通常でも空中の数十倍から百倍以上に達しています。
根元に十分腐熟していない有機物を施用すると、さらに二酸化炭素が多く発生して根の呼吸を妨げます。
このサクラの枝先を見ると、芽と芽の間が狭く、成長が遅いことがわかります。枝先の写真を掲載していませんが、幹の状態を見ただけでもこのサクラの健康状態が分かると思います。
根元への10cm以上の盛り土や有機物堆積は、樹木の成長に極めて悪影響を与えます。
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